シングルマザーと子どもたちが生き生き暮らせる社会を!認定NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」を取材!
シンママライフ編集部です。
今回は、シングルマザーとその子どもを支援する「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の理事である丸山様に、シングルマザー支援の活動内容や、シングルマザーから寄せられるお悩みについて取材させていただきました。
シングルマザーと子どもたちが生き生き暮らせる社会をつくるために。
インタビュアー(以下、イ):しんぐるまざあず・ふぉーらむさんはどんな活動をされていますか?
丸山さん:しんぐるまざあず・ふぉーらむは、ほぼシングルマザーで運営している団体で、シングルマザーと子どもが生きやすくすることをテーマに活動しています。シングルマザーの就労支援として「未来への扉」というキャリア支援プログラムで、美容部員やオフィスワークのプロジェクトリーダーを育てる取り組みを行なっています。美容部員の育成に関しては、日本ロレアルさんと協力しています。5ヶ月間のプログラムで、今は5期生が学んでいるところです。1980年から活動していて、NPOになってからは17年になります。
イ:丸山さんが関わるようになったきっかけは何でしたか?
丸山さん:私は2000年にシングルマザーになったのですが、インターネットで調べて出てきた交流会に参加したことがきっかけでした。
イ:シングルマザーとして、ご自身で困ったことはありますか?
丸山さん:正社員の仕事を探していて、子供が小さかったので「預かってもらえないから無理ですよね」と断られた経験があります。何十件も断られました。その後に住居の問題もありました。そもそも貸してくれないんです。シングルマザーにとっては、住居問題も大きいですよね。
あなたはひとりじゃない。困ったことは私たちに相談を。
イ:シングルマザーの方からはどんな相談が多いですか?
丸山さん:しんぐるまざあず・ふぉーらむでは週に2回、電話相談をしています。火曜と水曜の16時から21時までお受けしています。全国のシングルマザーから相談が来ます。経済的な厳しさだったり、お子さんとの関係に関する相談が多いです。メンタル的な不安を抱えている方の相談も多いですね。離婚前の相談もあります。手続きについてわからないことなど、年間で600件ほどの相談を受けています。地方の方は情報がなくて困っている方も多く、就労先も限られますから、地域の資源がないか一緒に考えたりもします。その他には東京、埼玉ではグループ相談会も開催しています。
イ:シングルマザーを取り巻く環境の変化はありますか?
丸山さん:私は20年ほど前にシングルになったのですが、制度は整備されてきたと思います。児童扶養手当も、受給後5年で一部支給停止に法改正されましたが、私たちや協力団体の活動を通して凍結され、申請をすれば18歳までの受給が認められています。2016年から児童扶養手当の子ども2人目の支給額が5千円から1万円に、3人目が3千円から6千円に上がりました。また、子育てのサポートも増えてきました。一方で、「生きづらい」という相談が増えてきているのも事実です。調査では、お母さん同士のつながりや地域のつながりが少なかったりして、子育てのヘルプが得られない方が多いということがわかっています。これはシングルに限らないことですが、「どこに頼っていいかわからない」という方が多いんです。情報が多すぎて逆に正確な情報が得にくい現状があります。近年ではSNSなどで個人の主観の情報が多いので、ネットワークビジネスに飛びついてしまったりというケースもあります。
子どもがスクスク育つためには、まずお母さんが笑顔でいること。
イ:子育ての悩みではどんな相談が寄せられますか?
丸山さん:不登校に関する相談が多いですね。「お父さんがいなくて大丈夫でしょうか」と悩んでいる方には、「一人親でも立派に育ちますよ」とお伝えしています。子どもがスクスク育つには、家族の形態ではなく、お母さんが笑顔でいることが大事なんです。
イ:将来に関する不安の相談もありますか?
丸山さん:あります。漠然とした不安を抱えている方が多いんです。相談ではその漠然とした不安を紐解いていきます。そこからどうしたらいいのかを考えるんです。お金の問題であれば、「いつまでにどれくらいお金がかかるのか」を考えて、「どれくらい収入を得ないといけないのか」と、やるべきことを明確にしていきます。
イ:悩みを明らかにすると、どうしようもないこともありませんか?
丸山さん:そういうこともあります。家計簿を書いてもらうと、だいたいドヨーンとします(笑)。でもそこから、副業をするのかスキルアップするのか、やるべきことが見えてくるんです。当団体では資格取得講座として、ファイナンシャルプランナー3級の講座を行っています。また、資格ではないですけれど、自分に自信をつけるためのエンパワーメントセミナーだったり、離婚の法律手続きのセミナーなどもいろいろ開催しています。全国のシングルマザーの方に情報を届けられるよう、「Smoms」というフリーペーパーも発行しているんですよ。
まずは身近なことから、一歩踏み出して。
イ:シングルマザーでこれから仕事をする方にアドバイスはありますか?
丸山さん:ブランクが長い方には、「前職何をやっていたか」「最初に何をやっていたか」考えてみて、イメージできそうなものから動いてみることをお勧めします。一歩を踏み出すことがすごく大変なんですね。いきなり正社員からではなく、まずは「近くて好きなもの」から選んでみる。「好きなもの」と「興味があるもの」の掛け合わせが何か考えてみる。そういったところから踏み出してみてほしいです。
イ:シングルマザーはどんな業種に勤めている方が多いですか?
丸山さん:事務職を希望される方が多いですね。9時から5時で終われて、土日が休みなので。でも一般事務といっても幅広くて、経理事務とか、人事事務、採用事務、営業事務、他にも生産管理の事務だったり、コールセンターの事務など、様々あります。仕事がたくさんあることを知ってもらって、まずは身近に触れている仕事から考えてみると良いと思います。
今求められているのは、シングルマザーが生活を立て直せる制度。
イ:シングルマザーをサポートする上で、今後制度化して欲しいのはどんなところですか?
丸山さん:シングルマザーのホームヘルプサービス(日常生活支援事業)がもっと充実して欲しいですね。急な出張や残業でお家に来てもらうサービスです。シングルマザーで児童扶養手当をもらっていると無料化されたりすごく安く利用できたりするのですが、自治体によってまちまちなんですね。それが全国の自治体で同じように使えるようになってほしいです。
イ:働くシングルマザーには必要な制度ですよね。
丸山さん:働くときに何が困るって、お子さんの送り迎えだったりご飯だったりなんです。ファミリーサポートセンターというものもあるんですけど、協力する方が足りないんですね。あとはシングルマザーになる手前の、別居していて経済的に厳しく生活が困難な方に対して、すぐに生活保護を受給しなければならないのではなく、例えば半年間貸付して生活を立て直せるような制度が必要だと感じています。生活保護を受けると車が持てず仕事ができなくなってしまうので、地方のお母さんたちにとってはそれがネックになってしまうんです。生活が立ち行かなかくなったら生活保護しかない、というのではなく、それ以前のセーフティネットがもっとゆるやかに制度としてあればいいなと思っています。
イ:最後に、シンママライフの読者さんへメッセージをお願いします!
丸山さん:しんぐるまざあず・ふぉーらむでは親子イベントやクリスマス会などたくさんのイベントを開催しています。ボランティアスタッフさんも常に募集しています。ご興味のある方はぜひお気軽にご参加ください!
シンママライフでは、今後もシングルマザーの活躍を支援する団体や企業をご紹介していきます。どうぞお楽しみに!